新型コロナウイルス感染症 注意点 原医院(一部抜粋)
<症状と経過>
熱と咳、だるさが主な症状です。鼻水、くしゃみ、下痢はあまり目立ちませんが、出ることもあります。潜伏期間は約1~12(多くは3~7)日と言われています。多くの場合、普通の感冒症状(だるさ、発熱、咳、筋肉痛、下痢など)で、治療しなくても1週間ほどで治ると言われています。重症になる場合は、症状が出てから約1週間後に呼吸が苦しくなる、だるさが強くなるなどの症状が出、肺炎の悪化やサイトカインストームによる重症化が起こることがあります。初期症状はインフルエンザや感冒に似ており,この時期にこれらと COVID-19 を区別することは困難です。嗅覚障害・味覚障害を訴えることもあり、イタリアからの報告によると約 3 割の患者、特に若年者・女性で嗅覚異常または味覚異常がみられました。死亡率は日本では約1%(80歳以上では15%)といわれています。(インフルエンザによる死亡率は0.1~4%)。変異株では死亡率が上がる可能性があります。
<原因ウイルス>
人に感染するコロナウイルスは今までに6種類知られていました。そのうち4種類は普通の風邪の原因のウイルスです。残りの2種類はSARS(重症急性呼吸器症候群)、MARS(中東呼吸器症候群)という感染症の原因ウイルスです。今回の新型コロナウイルス感染症は7番目の人に病気を起こすウイルスです。
<感染経路> インフルエンザとほぼ同じです。人との距離が近いと感染しやすくなります。
① 接触感染:感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りのものに触れるとウイルスが付き、他者がそのものを触った手で口や鼻、目を触って感染する。(唾液、痰、便など)
② 飛沫感染:くしゃみ、咳、つばなどに含まれたウイルスを他者が口や鼻から吸い込んで感染する。(マスクで防げます。症状のある方がマスクをする時に効果は最大です)③ 飛沫核感染(飛沫の水分が蒸発して中身粒子が浮遊する状態。現時点では可能性)
<感染予防>
・人が多く集まる所や集会・会議の参加は控えましょう。病院や施設の面会を控えましょう。
・石けんによる手洗いや、アルコール消毒液による手指消毒をしましょう。(手指が触れるドアノブ・蛇口・トイレの水洗ノブなどの消毒)
・咳エチケット:咳・くしゃみをする時に、マスクやティッシュ・ハンカチ、袖、肘の内側などを使って、鼻や口を押えましょう。
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<風邪かな?新型コロナウイルス感染症かな?と思ったら>
風邪症状があるときは、外出、出勤、登校を避けて、十分な睡眠とバランスの良い食事、水分を摂り、安静に過ごしましょう。体温を朝夕測定・記録してください。通常の肺炎と同様に、高齢者や基礎疾患のある方の肺炎のリスクが高いと考えられます。また若くて軽症の方が、周りにひろげている可能性も高く、体調の悪いときは自宅安静をお願いします。
ウイルスによる風邪は、通常は自分の免疫が働いて自然治癒します。弱っていると重症化しやすいので十分に睡眠をとって健康な状態を維持してください。子供が重症化するという情報は現在のところありません。ただし、軽症・無症状のため活発に活動することにより感染を広げることが懸念されています。高齢者や病気を持っている人にうつると、重症の肺炎を起こすことがあるので予防に努めてください。
*基礎疾患:糖尿病、肥満、心不全、呼吸器疾患(COPD 等),透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方、鎌状赤血球症などの方を指します。
母親が感染した場合:新型コロナウイルスが陰性となるまでは、ご家族と相談して搾母乳をあげるか人工乳をあげるか決めてください。いずれにしても、搾乳をしていれば陰性になってからの母乳育児への移行がスムースです。母乳中に新型コロナウイルスが含まれるという報告はなく、WHO (世界保健機関)やCDC (アメリカ疾病予防管理センター)では母乳をあげてよいとなっていますが、正確なことはまだよく分かっていません。一方で、新型コロナウイルスに感染したお母さんの母乳中には新型コロナウイルスの抗体(免疫物質)があると言われており、赤ちゃんに飲ませることで発症予防や重症化予防ができるとも言われています。ただし、お母さんが搾乳器や容器などに触れてウイルスが付着することにより感染を引き起こすリスクもありますので、搾母乳をあげる場合には容器を拭くなど、感染を広げないように十分ご注意ください。
<大切なこと>
・基本的な手指消毒と咳エチケット、そしてバランスの良い食事と十分な睡眠
・不要不急の外出を避ける。人ごみに行かない。
・いつもと同じ軽い風邪症状なら自宅安静が大切!軽い症状での受診を控える。
・慌てない!!
<検査について>
・PCR検査:PCR検査とは、サンプル中に新型コロナウイルスの遺伝子配列のRNAが存在しているのかどうかを検出する検査です。今現在新型コロナウイルスに感染しているかどうかを知るには、PCR検査がファーストチョイスです。
検体採取法:「鼻咽頭ぬぐい液」「唾液」「鼻腔ぬぐい液」で検査出来ます。
PCRを行うには様々な試薬を混ぜる過程があり、ある程度熟練した臨床検査技師が必要で、高価かつ場所を取る機械も必要です。結果が出るまで数時間がかかります。
・抗原検査:PCR検査がRNAを増幅して検出するのに対し、新型コロナウイルスに対する抗体を用いて抗原を見つける検査です。PCRに比べて感度が劣ります(偽陰性が多くなります)が、30分程度で結果が出ます。発症2日目から検査出来ます10日目以降は検出能が低くなります。「鼻咽頭ぬぐい液」「鼻腔ぬぐい液」で検査出来ます。
鼻咽頭ぬぐい液:感染初期には最も標準的で信頼性の高い検体です。医療従事者が採取する際に飛沫に暴露するリスクが高いため、感染予防を徹底したうえでの実施が前提となり、適切な部位からの採取が必要です。(痛みを伴いやすい)
検体採取のポイント:鼻腔ぬぐい液採取用綿棒を鼻腔から耳孔を結ぶ平面を想定し挿入します。コトンと行き止まる鼻腔の奥まで綿棒が達したら、鼻腔粘膜を数回こすり取ります。
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鼻腔ぬぐい液:患者さん自身が採取できます。鼻孔から2cm程度 しっかり採取用綿棒を挿入し、挿入後綿棒を5回程度回転させ、十分に湿らせます。
その際のポイントとしては、鼻甲介の位置は鼻の中心線より外側の側面にあたるので、側面にこすりつけるようにして採取します。中心方向(鼻中隔)をこすると出血し易いのでご注意ください。
鼻腔が乾燥した患者様の場合には、綿棒をあらかじめ滅菌済みの生理食塩水で湿らせてから検体採取を行うことをお薦めします。
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・抗体検査:抗体検査は血液検査です。ウイルスに感染した人の体内で作られた抗体を検出します。感染したかどうかがわかります。
<ワクチン>
海外ではワクチン接種がすすんでいます。日本でも優先順位が決められ準備中です。現在まで副反応としてアナフィラキシーが報告されています。接種後30分以内に起こることが多く、適切な処置ですべて治癒しています。ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社等
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